微動探査という言葉は厳密には定義されていない。ある人は、観測された微動の平均周期、卓越周期を用いて、地盤種別を判定する方法であるというだろう。ある人は、地震時の地盤の応答を常時微動の振動特性によって近似するための探査法というだろう。また、これらとは別に、地下の弾性波速度構造を推定するのに微動を利用する方法であるというだろう。これらは、数多くの研究者、実務者によってそれぞれ利用されているが、理論的、実用的の両面を完全に満足する手法とまでは至っておらず研究の展開が期待されている分野である。
微動とは読んで字のごとし’微かに動く’振動である。
地表面は、いつでもどこででも人体には感じられない程度に微かに振動している。この振動を励起する原因は多種多様であり、例えば、気象・海象などの風、波浪等による自然現象、工場振動、車両の通行による振動等の人間活動による人工現象が考えられる。
微動はいつでもどこにでも存在するため観測が非常に容易である。微動に含まれる地下の情報を抜き出すことができれば、従来の探査法に比べ、探査法として経済的に有利である。また、都市部における探査では、従来の探査法では火薬等を用いた人工震源利用などにより種々の環境問題が発生する可能性があるが、微動を利用した探査法ではそれが皆無である。
微動探査法として、理論的にも完全であり、実用的にも今後に効果が期待される手法として、アレイ(センサーの郡列配置)観測による微動の位相速度を利用した地下速度構造推定法があげられる。これは、微動計(地震計)を地表面に複数配置し微動を観測し、周波数−波数解析法などを利用して各周波数ごとの微動の位相速度(波の伝わる速度)を推定する手法である。微動の主成分が表面波である場合、その位相速度は地下構造に依存した分散現象(周波数ごとに位相速度が変わっていく現象)を示すため、逆解析により地下の弾性波速度構造が推定可能である。
語句の説明
参考文献
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